3Dスキャナー開発の歴史・立体測定メソッドの進化について解説

3Dスキャナーという立体測定メソッド開発の歴史について解説する記事です。3Dスキャナーは、三次元測定機とも呼ばれる精密機械。現在はテクノロジーの進歩により、さまざまな大きさの物体を高精度で測定し、3Dデータを取り込むことができますが、ここにたどり着くまでには、意外にも長い開発の歴史があったのです。

3Dスキャナー開発の歴史

3Dスキャナー

3Dスキャナーは、三次元測定機とも呼ばれる精密機械。現在はテクノロジーの進歩により、さまざまな大きさの物体を高精度で測定し、3Dデータを取り込むことができますが、ここにたどり着くまでには、意外にも長い開発の歴史がありました。この記事では、3Dスキャナーが誕生する以前の立体測定メソッドの説明から、3Dスキャンのテクノロジーが進歩し、現在に至るまでの歴史について解説します。

3Dスキャナー

3Dスキャナーの開発の歴史を解説する前に、今一度、3Dスキャナーについて解説しておきましょう。3Dスキャナーは、センサーや探針により測定対象物の形状を座標データとして取り込み、さらにポリゴンデータに変換することで立体として生成する機械のことです。3Dスキャナーの利用は、製造業をはじめ、医療、航空、ファッション、芸術に至るまでさまざまな業界に及んでいます。測定方式は大きく分けて探針による「接触式」と、光を利用しセンサーで測定する「非接触式」があります。

3Dスキャナー登場以前の立体測定メソッド

「3Dスキャナー登場以前の立体測定メソッド」という見出しですが、計測機器を使う測定方法は、現在ももちろん使用されています。精密な計測機器として知られ、クオリティ管理や加工精度の向上のために使用されているのは「ノギス」や「ダイヤルゲージ」などです。リーズナブルな値段で手に入り、熟練の職人であれば高い精度で測定できるのですが、この測定精度が「人によりけり」というところがこれらのデメリットでした。現在も使われている主な測定機をご紹介しておきましょう。

ノギス

ノギスは、スライドするパーツが付いた定規のような形をした測定機です。物体の外側、内側、深さ、段差を測ることが可能で、その精度も100分の5ミリメートル単位まで測定可能。以前は機械的タイプが主流でしたが、現在はデジタルノギスの利用が増えています。

スケール

こちらは説明の必要はないでしょう。定規です。

ダイヤルゲージ

ダイヤルゲージは、短い距離を高精度で測るために使われる機械です。スピンドルと呼ばれる部分を直線的に動かすことで、その移動距離を正確に計測します。アナログ式とデジタル式があります。

ハイトゲージ

ハイトゲージは、高さを正確に測定するための計測器です。デジタル式やダイヤル式がありますが、ダイヤルゲージを取り付けて使用する場合もあります。

マイクロメータ

マイクロメータは、精密に作られたネジ機構により、正確に長さを測るための計測器です。「外側マイクロメータ」「内側マイクロメータ」「歯厚マイクロメータ」など、多くのバリエーションがあります。

3Dスキャナー・開発と進化の歴史

3Dスキャナーの歴史は意外にも古く、1960年代に遡ります。それまでの立体測定は、ご紹介したような計測器を使用して行われていました。

3Dスキャナー黎明期

1960年代になると初めて、立体を測定可能な測定機が登場します。3Dスキャナーの元祖とも言えるこの機械は、自動車の製造現場を中心に急速に広がりました。
1970年代になると立体の測定にもコンピュータが導入されるようになります。当時登場した据え置きタイプの3次元測定機にはコンピュータが搭載され、X軸、Y軸、Z軸の3軸による立体データの測定が可能になりました。
この後、立体測定は据え置きタイプの3次元測定機として発展を続けていきます。精度や操作性が向上すると共に、導入も幅広い分野へと広がっていきます。測定のクオリティも向上したことでコンピュータによるデータ処理で、作業工数の短縮に効果を発揮しました。

ポータブル化とレーザー光の使用

1980年代に入ると、それまでの据え置きタイプに加えて「ポータブル」な3Dスキャナーが登場します。「多関節アーム型3次元測定機」と呼ばれるもので、義手や義足を作る業者のために製造された物でした。この3Dスキャナーにアレンジを加えて一般工業向けに登場したのが持ち運び可能なポータブル3Dスキャナーです。この機械の登場により、製造業は作業フローの簡素化と、コスト削減を同時に達成することができました。
ポータブルになった3Dスキャナーはその後、さらに進化を続けます。
それまで大型の建造物、例えば船や工作機械、飛行機などを測定することは困難を極めました。しかし、レーザー光を使って物体を測定する方法が登場したことで、大型建造物の測定が可能になったのです。レーザー光を使用する測定方法の誕生は、現在の3D測定テクノロジーに直接つながる大きな出来事だったと言えるでしょう。

現在の3Dスキャナー

3Dスキャナー

3Dスキャナーはその後も進化を続け、現在の3Dスキャナーでは、光学的に物体を測定する非接触式の3Dスキャナーの普及が進んでいます。非接触式は、大型建造物の測定を可能にしたレーザー光を使うタイプのほか、「パターン光」と呼ばれる「パターン」を物体に照射して立体を測定するタイプがあります。
レーザー光を使うタイプは、レーザー光を測定対象物に照射し、反射光を感知することで対象との距離を測ります。この方式では三角測距の原理を利用することで立体の形状を取り込んでいます。シンプルな原理を利用することでコストがかからないため、中級モデルまでの3Dスキャナーの多くが、この方式を採用しています。
パターン光を使うタイプは、縞模様などでできたパターンを測定対象物に照射し、その歪みを読み取りながら立体の形状を取り込みます。スピーディーに、高品質のスキャンが可能ですが、暗い場所でないと作業ができないという難点があります。
テクノロジーの進化により、3Dスキャナーの大きさにも変化が起こっています。持ち運びが可能な3Dスキャナーは、より持ち運びしやすい大きさになっています。
「据え置きタイプ」「ハンディタイプ」という分類に変化はないものの、現在の3Dスキャナーは、用途に応じて選べるようになっています。測定対象物が大きい場合は「据え置きタイプ」、細かい部分の測定には「ハンディタイプ」といった具合です。
非接触式のほかに、接触式の3Dスキャナーもまだまだ使われています。接触式の3Dスキャナーは、プローブと呼ばれる探針や、センサーを使用することにより、測定対象物に直接コンタクトして凹凸を感知、座標データを取得します。正確に測定できるために現在ももの作りの現場ではよく使われているのですが、実際に対象物に触れるという仕組み上、対象物が大きくなると使えないというデメリットがあります。また、非接触式よりも測定に時間がかかります。




3Dスキャナー開発と進化の歴史・まとめ

3Dスキャナーの開発と進化の歴史について解説してきました。立体測定の技術は、現在も発展を続けており、3Dスキャナーの利用も他分野に広がっています。現在、すでに一般向けの安価な3Dスキャナーも販売されているとおり、ビジネスでの利用も、家庭での利用も進んでいくものと考えられます。ノギスなどの測定機は今でも健在ですが、3Dスキャナーの利用が広がることにより、もの作りの未来にどんな変化が訪れるのか注目したいところです。